名古屋駅前で、ちょっと面白い動きが続いています。72年の歴史に幕を下ろした名鉄百貨店本店の跡地に、この夏から冬にかけて、高級スーパーと家電量販店が相次いで出店することになりました。実は、この背景には数千億円規模の再開発計画が”足踏み”しているという事情があります。営業の仕事柄、こういう街の変化には職業病的に反応してしまうので、今回はコラムとして書いてみます。
72年の歴史に幕、そして再開発計画も足踏みに
1954年開業の名鉄百貨店本店は、2026年2月28日をもって営業を終了しました。同じビルに入っていた名鉄グランドホテルも3月22日に営業終了。もともとはこの一帯を含む「名古屋駅地区再開発計画」の一環で、名鉄単独の投資分だけでも約5,400億円という巨大プロジェクトが控えていました。
ところが、この再開発計画は資材費の高騰などを背景に、スケジュールが軒並み「時期未定」へと変更されています。解体着工は2026年度予定だったものが未定に、新築着工も2027年度予定から未定に。当初2033年度としていた1期工事の竣工時期も見通せなくなっているのが現状です。数千億円規模の事業が一度計画を白紙に近い状態まで見直すというのは、正直かなりインパクトのあるニュースだと感じました。
空いた建物に、次々と”つなぎ”のテナント
面白いのはここからです。解体時期が決まらない以上、建物自体は当面残ることになります。そこで名古屋鉄道は、駅前のにぎわいを維持するための”つなぎ”の出店を進めています。
まず6月24日には、旧名鉄百貨店本店の地下1階にあった和菓子売り場の跡地に、ギフトコーナー「Ms RELIER NAGOYA」がオープン。11ブランド・約250平方メートルと小規模ながら、閉館したばかりの名鉄百貨店の一部が再び動き出したとして話題になりました。
さらに、名鉄バスターミナルビル地下1階には、三重県津市発祥の高級スーパー「サポーレ」が2026年冬に出店予定。サポーレは2025年7月に名鉄と資本業務提携を結んでおり、津市・名古屋市に3店舗を展開する生鮮食品や自家製惣菜に強いスーパーです。売り場面積は約2,500平方メートルで、かつての名鉄百貨店本店の売り場面積(5万平方メートル超)と比べるとおよそ20分の1の規模ですが、百貨店時代に食品売り場を利用していた客層のニーズに応える狙いがあるとのことです。
そして極めつけが、2026年7月10日に発表された「ヨドバシカメラ」の出店。名鉄ビル(旧・名鉄百貨店本店)の地下1階から地上4階という広いフロアに、2026年夏の開業を予定しているそうです。駅前一等地に家電量販店が入るというのは、街の使われ方としてもかなり大きな変化だと思います。
営業目線で見る”つなぎ需要”という考え方
僕自身、中小企業で見積もりや発注の仕事をしていると、大きな計画が思い通りに進まないときほど、その間をどう埋めるかが重要だと実感することが多くあります。今回の名古屋駅前も、まさにそれと同じ構図に見えました。5,400億円規模の再開発が動き出すまでの数年〜十数年、駅前の一等地を遊ばせておくわけにはいかない。だからこそ、サポーレやヨドバシカメラのような”つなぎ”だけれど本格的なテナントを入れて、にぎわいを維持する。
大きな絵が描けないときほど、目の前の一手をどう打つかで差が出る。規模はまったく違いますが、自分の仕事にも通じるものを感じたニュースでした。
まとめ:再開発は止まっても、駅前は止まらない
- 名鉄百貨店本店は2026年2月28日に72年の歴史を終えて閉店
- 約5,400億円規模の名古屋駅地区再開発計画は、資材費高騰等の影響でスケジュールが軒並み「時期未定」に
- 跡地には「Ms RELIER NAGOYA」(6月24日)、「サポーレ」(2026年冬予定)、「ヨドバシカメラ」(2026年夏予定)が相次いで出店
- いずれも再開発本体が動き出すまでの”つなぎ”としての性格が強いが、規模的にはかなり本格的
- 名古屋駅前は今後数年、こうした”つなぎ”の顔ぶれで過ごすことになりそうです
再開発が本格的に動き出すのはまだ先の話ですが、その間の名古屋駅前がどう変わっていくのか、引き続き追いかけていきたいと思います。
